MORE
THAN
PROJECT

「日本のイメージって、どんなもの?」と、海外の友人に尋ねたら、こんな答えが返ってきたことがある。

「えーっと、フジヤマ、サムライ、スシ、ゲイシャ…?」

私は少しびっくりしてしまったが、その友人は冗談ではなく本気でそう思っていたようだ。地域の特色ある食品・工芸品・お祭り、おもてなし精神が宿った施設やサービス、世界を興奮させるコンテンツ、先端技術だってあるのに。

私たち日本人にとっては、胸を張って紹介したい「日本の良いもの」は多い。

それでも、まだまだ海外に届いていない現状がある。

確かに、友人が答えたフジヤマ、サムライ、スシ、ゲイシャも日本の魅力だが、そんな「定番の日本」に加えて、「今の」「これからの」日本の価値も知ってもらいたい。

海を渡り、活き活きと輝く日本のモノやサービス。

世界に目を向けて、日本の未来を創りに行こう。

「もっと、もっと」日本から世界へ。

OUR MISSION

プロジェクトが目指すもの

世界を担う「中小企業×プロジェクトチーム」の力で、今の日本の魅力を世界へもっと発信しよう! ……はじまりはそんな想いから。日本には古くからその地に受け継がれてきた技術や伝統、生活文化を生かした商材をもつ、個性豊かな中小企業が各地に存在する。とはいえ、海外での販路開拓や拡大を独自に行うには、「数多くのハードル」がある。たとえば、事業計画立案、現地の市場調査、現地ニーズに合わせた商材改良、流通貿易への対応、販路開拓……。残念ながら、これらのハードルを超えるために必要な“人も知見も足りていない”のが現状だ。MORE THAN プロジェクトは、そんな悩みをもつ中小企業が、海外市場において豊富な実績と経験を持つ「プロデュースチーム」とタッグを組み、海外販路の開拓を支援すべく2014年度より立ち上げられました。
このwebサイトは2014年から2016年の3年間にわたりMORE THAN プロジェクトで得たナレッジやネットワークをオープンに公開することで、日本から海外展開を目指す中小企業のプラットフォームとなる事を目指します。

CONCEPT MOVIE

PROJECT
RESULT

プロジェクト全体の成果

2014.04 - 2015.03

参加企業

16

商談件数

540

商談成立数

160

取材数

129

10都道府県16地域の中小企業がプロデュースチームとタッグを組んで2014年度プロジェクトに参加しました。

2015.04 - 2016.03

参加企業

13

商談件数

769

商談成立数

155

取材数

83

13都道府県13地域の中小企業がプロデュースチームとタッグを2015年度プロジェクトに参加しました。

2016.04 - 2017.03

参加企業

12

商談件数

682

商談成立数

133

取材数

65

9都道府県12地域の中小企業がプロデュースチームとタッグを2016年度プロジェクトに参加しました。

PROJECT
SCHEM

プロジェクトの構想

1タッグを組む

日本の地域・文化を生かした商材をもつ中小企業とプロジェクトマネージャー、デザイナーが、海外販路拡大のために行う市場調査、商材改良、PR・流通活動を支援しました。具体的にはプロジェクトマネージャー、デザイナーの謝金・旅費、専門家招聘の謝金・旅費について、経済産業省から補助金を交付を行う。

2ストラテジーセッション

日本の強みを生かした商品開発や、海外への情報発信に長けた各界の有識者をアドバイザーとして招致。チームが一堂に会する場で、定期的に各プロジェクトの進捗共有と課題解決に向けたディスカッションを行い、ビジネスをサポートし、各チーム同士やアドバイザーがつながる機会を提供。

3マッチングフェスティバル

海外展開に知見のある専門家やクリエイター、国内外で活動する流通業者とのビジネスマッチングイベントを開催。プロジェクトのプロセスを公開する企画やアドバイザーによる講演、海外進出を目指す企業がプレゼンテーションを行う場など、海外販路拡大につながる具体的なビジネスマッチングの機会を提供。

4クリエイティブ サポート

プロジェクトの取り組みを発信する公式Webサイト、持ち運びやすいタペストリやチラシ、ポスター、12チームの想いやストーリーを記録した冊子など、さまざまな製作物をつくることで、各チームのプロモーション活動のサポートを積極的に行う。

5CARAVAN

MORE THANプロジェクトのスタッフが、豊富なコミュニティを持つ全国10ヶ所の人物と共に企画したイベント「Local Talk Jam CARAVAN」。各地域で活躍するものづくり事業者やプロデューサー、クリエイター、行政の方々といった、イベント参加者との対話を通じて双方向の連携について考え、日本各地にいる同じ志をもった“仲間たちとつながる場”を構築。

6プラットフォーム

本プロジェクトのメンバーや、第一線で活躍する実践者たちの知識や経験を共有することを目的として構築されたwebプラットフォーム。経験、知見が豊富な実践者たちのインタビュー記事や彼らが答える海外展開に関する様々な問い(100Question)を掲載。

COMMENT

このプロジェクトを牽引するメンバーから

林 千晶

株式会社ロフトワーク
代表取締役

二本栁友彦

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

古市 茂

経済産業省クリエイティブ産業課
課長補佐

山田 遊

( 株)メソッド
代表取締役バイヤー/監修者

フジヤマ・サムライ・スシ・ゲイシャを更新する

海外の人は、案外、日本のことを知らない。「日本から来た」というと「オー、スシ、ゲイシャ」なんて言われることが、少なくないのだ。単純化されたイメージが世界に流通し、現在の日本との乖離が広がる。このような現象は、日本だけに当てはまることではない。例えば日本人に「ケニア」について尋ねると、多くは「草原、サファリ、動物」などを挙げるのではないだろうか。それも間違いではないが、首都ナイロビが急速な発展を遂げ、アフリカを代表するI T 都市になっていることは、あまり知られていない。
MORE THANプロジェクトでは3年間、日本が世界に誇るものづくりの現場を訪れてきた。そして、優れたものの背景にはそれを実現する風土があり、歴史があり、技があり、それらを紡ぐ人がいることを実感した。日本文化という総体はこうした、ひとつずつの、ひとりずつの、小さな存在から構成されている。ならば、彼らの海外進出を全力応援することで、世界における日本のイメージをアップデートしたい。そんな想いを胸に、MORE THAN プロジェクトは活動を重ねてきた。
このプロジェクトは、経済産業省が推進するクリエイティブ産業支援の一つである。国のリソースを有効に活用することも、大切な目標の一つだ。だが実際、国と付き合うのは簡単ではない。「補助金」という響きにネガティブな印象を抱く人は少なくないし、クール・ジャパンというネーミングも反発を買いやすい。不正を防ぐために張り巡らされた細則は、膨大な事務作業を必要とする。
国の仕組みを批評するのは簡単だ。でも、それを生かすも殺すも自分たち次第。デザイナーやプロデューサーの高いスキル、ものづくり・サービスづくりに邁進する企業のノウハウ、そして国の豊富なリソース。目標を共有する仲間であるなら、それぞれの文化や作法の違いは乗り越えて、成果のために互いの強みを活用し合えばいい。その点でも、MORE THAN プロジェクトは貴重な成功体験になった。既存の枠組みを変えなくても、様々な工夫はできる。
例えば「どんな活動をしたかがわかること」という要件を満たしながら、形だけの「報告書」をやめた。写真を丁寧に撮り、商品説明文を洗練させ、事業者の人たちが海外でPRツールとしても使えるよう仕上げた「プロジェクトブック」は、「バイヤーの信頼獲得に効果てきめんだ」と国内外のプロフェッショナルから高い評価を受けている。
また数ケ月に一度開催されるストラテジーセッシ ョンや報告会では毎回、プロジェクトや立場を超えて熱い議論が交わされる。お互いの挑戦に刺激を受ける中で、商談数・成約数・取材数など成果にこだわる空気が醸成されていく。いい意味でのプレッシャーが、各プロジェクトの品質を高めたことは間違いない。
だが、どんな仕組みやサポートがあっても、最後はやはり「人」だ。商品を収めた鞄を片手に海外の雑貨店に飛び込み、初対面の店長とその場で取引を結んだプロデューサー。初めての海外商談ながら、ヨーロッパ各国を行脚し、いくつもの商談を決めてきた工房。こうした小さな、けれど一期一会の出会いを積み重ねる「人」こそが、日本文化の未来をつくる。そして、MORE THAN プロジェクトが3年間かけて掘り起こしてきた、何よりの財産だ。
今後は、海外の人が日本の優れたものを生み出した原風景に足を運び、身体で感じてもらうきっかけも作っていきたい。その時初めて、モノが単なるモノではなく、ひとつの強いメッセージを持った存在に変わり、作り手との出会いが心に刻み込まれるはずだ。目指しているのは、人生を変える出会いを生み出すこと。世界から日本へ、日本から世界へ、そして日本から日本へ。

ともに、日本の希望へ

事務局の担当者として運営に携わってきたMORE THANプロジェクトも、今回で3年目を迎えた。1年目は、経済産業省だからこそ生み出せる価値を民間の私たちが最大化するための方法を探り、クリエイティブの力を駆使して主に情報の伝え方を研ぎ澄ませた。2年目は挑戦の幅をさらに広げることを目指し、プロジェクトに関わるすべての人とチームを形成して、事業者同士の接点を積極的に設けるなど、点ではなく面の力を生かす体制を整えた。それにより生み出されてきた多くの成果とともに、たくさんの知恵を得、人を中心とした強固なネットワークを構築することができた。
これまでチームからチームへつないできた知恵のバトンと、多様な領域に専門性を持つパートナーたちの惜しみない力添えにより、3年目の今年は質、量、スピードのいずれを見ても過去2年を大幅に上回る勢いで進行している。この流れを日本の未来へつなげていくために、私たちにできることは何か。そんなことを考えながら昨年の冊子を手にしたとき、指針を与えてくれたのは自分で記した一文だった。「海外進出の手法が分からずそれを求めている人たちのために、この2年間で培ってきたノウハウや実体験、現場での声をまとめ、オープンデータとして公開していくつもりだ」。世界という未知への挑戦をはじめる事業者たちにとって、情報やネットワークを得られることがいかに重要かはこれまでに実感してきた。世界各国への挑戦を後押しし、ときには事業者と共創しながらMORE THANプロジェクトというブランドをジャパンブランドの希望として成長させたい。そんな想いで、それぞれの事業者が積み重ねてきた資産を未来の挑戦者たちに伝え続けていく。それこそが、事務局である私たちの変わらないミッションだ。
折しも2020年の東京オリンピックへ向けたカウントダウンがはじまり、日本は新たな追い風を受けながら次の一歩を踏み出そうとしている。古くから受け継がれてきた技術や文化を、日本はもちろん世界の隅々に、そして次の時代にまで届けたいと願う事業者がいる限り、私たちの挑戦も終わることはない。

JAPAN PRIDE をJAPAN BRANDとして世界に届ける

20数年前、留学で初めて米国に行った際、JAPAN BRANDの自動車や電気製品の評価の高さを肌で感じ、一人の日本人として誇らしく思った。日本人技術者の「ものづくり」にかけるPRIDEが 、良い製品をつくり出し、それがまた日本人にPRIDEを与えてくれる。日本には、JAPAN BRANDの源泉となるJAPAN PRIDE が無数に存在している。長い歴史と豊かな自然の中で、地方の生活文化に根付き、職人たちによって創造され、伝承され、改良され、日本人の生活を豊かにする商材として具現化されてきた。それを自動車やハイテク製品のように海外の消費者に届けることができたなら、作り手も消費者も、双方が喜びを享受できるに違いない。そうした魅力ある商材を世界に届けるため、このプロジェクトでは、海外市場に精通したプロジェクトマネージャーやデザイナーが中小企業の海外市場進出を支援する。技と知恵の融合で世界に打って出る。そして、その取り組みの過程で直面する課題や条件、それを乗り越える苦労や手段を広く公開することで、同じように海外進出を目指す中小企業の参考にしてもらう。
より多くのJAPAN B RANDの世界進出に向けた勇気と契機の一助となれば幸いである。

MORE THAN PROJECTをとおして

過去、僕自身も海外への展開を幾度となく試みてきた。海外に在住している友人を通じて、日本の製品を海外の店舗に売り込もうとしたり、海外から輸入した製品を日本国内だけでなく、アジア諸国にも売り込んでみたり、海外で開催される合同展示会やイベントに出展したり…。
その後も、様々な領域に渡る日本の製品をPRする目的で、海外で開催されたイベント複数に携わったりまた、僕自身がバイヤーとして、日本の製品を扱う海外のショップの立ち上げに関わることなどで、それらの輸出が少しでも促進できれば、と考え、実行もしてきた。
その経験のどれもが、僕自身にとっては貴重な体験であったことは言うまでもないが、正直なところ、芳しい結果を残せてきたか?と問われたら、残念ながらその答えは「否」と言わざるを得ない。
また、2011年の東日本大震災前後あたりから、僕自身は、日本の産地や地域に仕事で関わる機会が多くなり、自然と日本の製品の流通に関しても、アウトバウンドよりインバウンドを強く意識するようになった。さらに2013年、日本を訪れる外国人旅行者は初めて1,000万人を超え、以降、日本の国内市場は現在に至るまでインバウンド消費の動向に一喜一憂するような状況が続いている。
そんな折の2014年に、まだ始まったばかりの「MORE THAN プロジェクト」から、アドバイザーになってくれないか?という依頼が届いたときは、かなり躊躇した記憶がある。なぜなら、僕自身の海外展開の試みは、上述の通り成功体験よりも失敗の体験の方が遥かに多かったと思っていたし、興味の対象も、アウトバウンドよりもインバウンドへと完全に向かっていた頃だったからだ。
けれども、その後3年間、僕はアドバイザーを続けることとなり、「MORE THAN プロジェクト」に参加した、多くの事業者、プロデューサーと出会い、短い時間ではあるが、定期的に対話していくことで、彼らが直面している海外展開における問題や悩み、障壁といったものを共有し、そして、なるべく適切なアドバイスができるよう務めてきた、とは思っている。
と同時に、その3年間を経て、僕自身も「MORE THAN プロジェクト」から色々と教わっていたようだ。例えば、アウトバウンドとインバウンドは、一体として捉えるべきであることや、また、ターゲット国をまず設定し、その上で、その国で海外展開を実際に試みることなど。
そして2017年、僕自身は欧米への海外展開を本格的に果たすべく、さらに一歩前へと進んで行こうと思っている。同じ日本の中小企業の1プレイヤーとして、開かれたプラットフォームであるこのサイトの存在に、今後は感謝することが多々あることだろう。

林 千晶

株式会社ロフトワーク
代表取締役

二本栁友彦

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

古市 茂

経済産業省クリエイティブ産業課
課長補佐

山田 遊

( 株)メソッド
代表取締役バイヤー/監修者

CONTENTS

このサイトのコンテンツ

100
QUESTIONS

本プロジェクトで生まれたコミュニティを生かし、第一線で活躍する実践者たちが答える海外展開に関する様々な問い(100Questions)を掲載。今日から使える海外展開のノウハウを提供します。

COLUMN

知見が豊富な有識者たちのインタビュー記事を数多く掲載。プロデューサーや現地パートナー達のリアルな経験談を、ストーリー形式で深く学ぶことができます。

PEOPLE

MORE THAN プロジェクトの中で生まれた様々なつながりや出会いをアーカイブし、ここを訪れた人々からまた新たなつながりを生みだします。

39
PROJECTS

2014年、2015年、2016年に参加した39の事業者のプロジェクトのプロセスや気づきといったものをアーカイブ。これから続く事業者、プロデューサーの未来の目標設定などに生かせる情報提供します。

ORGANISED BY Loftwork. inc

プロジェクトを企画するロフトワークとは

ロフトワークは、オープンコラボレーションを通じて、Web、コンテンツ、コミュニケーション、空間、イベントなどの「デザイン」を手がけるクリエイティブ・エージェンシーです。 ロフトワークがもつ世界に広がるクリエイティブコミュニテと共創することで、幅広いサービスを提供しています。

2014年度よりMORETHAN PROJECTの事務局として運営を行い39のプロジェクトの過程を記録するとともに、JAPANブランドの価値を伝えるためのストーリー、写真、記事、動画を作成しました。

PARTNERS

パートナー

PROJECT BOOK

これまでのプロジェクト