国内を対象としていながらも、長いスパンではグローバルブランドを目指している「0歳からの伝統ブランドaeru」は、国内はもちろん海外の受賞歴も豊富だ。メディアへの露出や評価の背景には、地道で戦略的な取り組みがあった。
「創業から10年は国内にアプローチし、その後グローバルを見ていこうと考えており、10年目が近づいた今、次フェーズへの準備に入っています。例えば、2017年にはベトナムで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の女性起業家のコンペティションに日本代表として内閣府に選出していただき、『APEC BEST(Business Efficiency and Success Target) AWARD』の大賞とBest social impact賞をダブル受賞しました。
評価された点は、『伝統を次世代につなぐビジネスモデル』だったと聞いています。なぜなら、APECには新興国も先進国も参加していますが、どの国の審査員も次世代に自国の文化がつながらないことに課題意識があったからです。ボランタリーなやり方や『守る』という発想ではなく、仕組みをつくり『活かす』という観点で経済を鑑みながらビジネスに落としているケーススタディが必要とされていたから、受賞につながったのだと感じました」。
この受賞が国際的な評価や認知度を上げる機会になり、IMFの副総裁から声かけもあった。海外進出というと実際に店舗を出したり、現地に卸すという手法に目がいきがちだ。しかし、和えるは国際的な舞台でプレゼンテーションをしたり、世界経済フォーラム(ダボス会議)の33歳以下のコミュニティに選出されたりすることで、関係性をつくり会社の海外展開の基礎をつくるという道筋を歩んでいるという。プロダクトにおいても、Appleや蔦屋書店もエントリーしている「Design for Asia Awards」という香港のデザインアワードを受賞している。創業初期の2012年からエントリーし、プロダクト本体やaeru meguroの店舗空間が評価された。モノ、空間、ビジネスモデルと会社を多面的に表現している。
写真提供:株式会社和える
「現在は、海外の方の目に触れる英字新聞やNHK Worldなどの掲載実績を少しずつ積み重ねており、これから海外向けのオンライン直営店というかたちでの海外出店に挑戦しようとしています。日本で「0歳からの伝統ブランドaeru」を立ち上げた時も、グッドデザイン賞やキッズデザイン賞といった受賞歴や、様々なメディアでご紹介いただいたことが、無名のブランドを信頼していただくうえで大きな支えとなりました。海外の方に会社やブランドのことを伝える時も、メディア掲載やアワード受賞が信頼につながると思います」。