Q72

Q72地場産業と関わる時のマナーや心構えとは?

6 answers

A1

回答日
 2017.03.21

事前のアポイントは、余裕をもってお願いすること

事業者さんの多くは従業員数が少ないことが多く、さまざまな業務をお一人の方が担当されていることも珍しくありません。地元にいるだけでなく、首都圏の催事に行ったり来たりされていることもあります。そのためアポイントメントをとる場合は、事前に余裕をもって連絡することを心がけましょう。

事業者さんの多くは従業員数が少ないことが多く、さまざまな業務をお一人の方が担当されていることも珍しくありません。地元にいるだけでなく、首都圏の催事に行ったり来たりされていることもあります。そのためアポイントメントをとる場合は、事前に余裕をもって連絡することを心がけましょう。

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澤田且成

DIRECTOR

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A2

回答日
 2017.03.21

1人で“0”から始めた経験から、主に3つ挙げたい

2013年1月に、東京での広告代理店の仕事に別れを告げて、佐賀県有田町に単身移住しました。その1人で“0”から始めた経験から、主に3つ挙げたいと思います。

まず1つ目は、その地の歴史を知ること。有田焼に限らず、現在ある産地は歴史が築いてくれたものなので、それを理解することは不可欠です。有田の場合は、400年の歴史を持つ日本一の陶磁器の町です。そんな有田の実態は分業制によって成立しています。歴史から紐解くと、この分業制によって大量生産を可能にし、また貴重な技術発達に貢献したことが理解できます。

2つ目は、職人の立場にもなって物事を考えること。素晴らしいものは、生産現場と消費現場の衝突によって生まれる挑戦の産物と思います。職人は無意識に現場の意見を採用しています。そこに気づけると新しい革新の可能性が自ずと見えてきます。

3つ目は、消費者の立場を忘れないこと。いくら素晴らしくても、消費者が抱える問題にちゃんと応えていなければ、商品は売れません。生産者と消費者の両方にとって、真に良い商品づくりを目指し続けなければなりません。

この3つを忘れずに取り組み続けることで、地場産業地にとって良きパートナーになれるのではないかと思います。

2013年1月に、東京での広告代理店の仕事に別れを告げて、佐賀県有田町に単身移住しました。その1人で“0”から始めた経験から、主に3つ挙げたいと思います。

まず1つ目は、その地の歴史を知ること。有田焼に限らず、現在ある産地は歴史が築いてくれたものなので、それを理解することは不可欠です。有田の場合は、400年の歴史を持つ日本一の陶磁器の町です。そんな有田の実態は分業制によって成立しています。歴史から紐解くと、この分業制によって大量生産を可能にし、また貴重な技術発達に貢献したことが理解できます。

2つ目は、職人の立場にもなって物事を考えること。素晴らしいものは、生産現場と消費現場の衝突によって生まれる挑戦の産物と思います。職人は無意識に現場の意見を採用しています。そこに気づけると新しい革新の可能性が自ずと見えてきます。

3つ目は、消費者の立場を忘れないこと。いくら素晴らしくても、消費者が抱える問題にちゃんと応えていなければ、商品は売れません。生産者と消費者の両方にとって、真に良い商品づくりを目指し続けなければなりません。

この3つを忘れずに取り組み続けることで、地場産業地にとって良きパートナーになれるのではないかと思います。

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廣部 慧

PRODUCER

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A3

回答日
 2017.08.17

相手の都合が最優先!工法や流通、繁忙期は必ず把握すべし

特に経営者の方はそうですが、たとえ熱心にプロジェクトに取り組んでいても、最優先するのは本業です。繁忙期にいくら催促をしても、動いてくれるはずがありませんし、むしろそうした行動は失礼にあたります。「2月のメゾン・エ・オブジェに出展しますから、最終の詰めは、年明けから頑張りましょう」と声をかけてしまいがちですが、先方の繁忙期が年明けだとしたらまったくプロジェクトが動かない可能性もあります。繁忙期にかち合わないように、煩雑なやりとりは早めに済ませておくべきです。

打ち合わせの設定も、先方の都合を最優先にするべきです。経営者の方々は、ただでさえ限られた予算と時間の中で動かれているのですから、東京に来られるタイミングに合わせてスケジュールを組むようにしています。そこまでの必要性がないのに「職人さんにお会いすることが大切!」と急に現地を訪れれば、先方に気を遣わせてしまう可能性もありますので、私はできるだけ控えるようにしています。

また、工法や流通を事前に把握しておくのも重要だと思います。今までとまったく違う工法を採用したり、新たな流通経路の確保が必要なプロダクトを提案したりするのは、費用面でも手続き面でも先方に負担をかけることになるからです。無理をすると長続きしませんので、可能な限り従来の工法や流通を活かした提案をするよう心がけています。先方が新しいことにチャレンジしたい場合は、工法、コスト、スケジュールなどすべてが量産可能な状態でなくては実現不可能ですので、新しい提案をする際には、そこの確認を行い、必要であれば私の持っているネットワークも総動員して提案しています。

特に経営者の方はそうですが、たとえ熱心にプロジェクトに取り組んでいても、最優先するのは本業です。繁忙期にいくら催促をしても、動いてくれるはずがありませんし、むしろそうした行動は失礼にあたります。「2月のメゾン・エ・オブジェに出展しますから、最終の詰めは、年明けから頑張りましょう」と声をかけてしまいがちですが、先方の繁忙期が年明けだとしたらまったくプロジェクトが動かない可能性もあります。繁忙期にかち合わないように、煩雑なやりとりは早めに済ませておくべきです。

打ち合わせの設定も、先方の都合を最優先にするべきです。経営者の方々は、ただでさえ限られた予算と時間の中で動かれているのですから、東京に来られるタイミングに合わせてスケジュールを組むようにしています。そこまでの必要性がないのに「職人さんにお会いすることが大切!」と急に現地を訪れれば、先方に気を遣わせてしまう可能性もありますので、私はできるだけ控えるようにしています。

また、工法や流通を事前に把握しておくのも重要だと思います。今までとまったく違う工法を採用したり、新たな流通経路の確保が必要なプロダクトを提案したりするのは、費用面でも手続き面でも先方に負担をかけることになるからです。無理をすると長続きしませんので、可能な限り従来の工法や流通を活かした提案をするよう心がけています。先方が新しいことにチャレンジしたい場合は、工法、コスト、スケジュールなどすべてが量産可能な状態でなくては実現不可能ですので、新しい提案をする際には、そこの確認を行い、必要であれば私の持っているネットワークも総動員して提案しています。

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大沼 敦

DESIGNER

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A4

回答日
 2017.11.30

いろんな角度からそれぞれの立場の方の考えや不満を本音の部分で知り、理解することが大事

現場を訪れるのは当然大切ですが、一度顔を合わせて話しただけで本音を引き出すのは難しいと思います。誰でも「良く見せたい」と思うのが当たり前ですし、わざわざ遠方から訪ねてくれた人に対して、いきなり愚痴や不満を言うこともできませんよね。

でも、デザイナーやプロデューサーは、本当の愚痴や不満を引き出すことが求められる仕事だと思うんです。そこがわからずに、企業や自治体が公式に表明している課題だけを見て提案しても、根本的な解決にはつながりませんから。

また、一方の角度からの意見や考えだけですべてを理解しようとすることは危険です。ものづくりの中でも、加工屋さん、メーカーさん、問屋・卸さん、小売さんと様々な立場の方が産地にはいらっしゃいます。様々な人を通して商品が作られ販売されています。それぞれの立場で考えや不満が異なり、また目標があります。

たとえば、私が拠点を置いている新潟・燕三条は、最近メーカーさんや加工屋さんが自社で直接小売業さんとの取引を始めたりという動きが活発化しています。メーカーさん加工屋さんの立場では良いことのように見えますが、問屋さん卸さんの立場で言えばそれはそう見えない場合もあります。どちらかの企業さんからの依頼があった場合、一方の意見だけを聞いていては、判断を誤る可能性があるでしょう。

しかしながら、もし全体を見渡せていれば、メーカーさんや加工屋さんが自社で小売さんとつながろう、あるいはつながっているとはいえ、物流も十分にないメーカーさんや加工屋さんが大きな数字を実現するにはハードルが高い。であれば、こちらでOEMを含め共同開発などで物流や販売網などの強みを活かし…といったお互いにとって良い方向になる可能性を提案することができます。

あらゆることすべてを解決することは不可能ですが、可能な限り全体の動きや流れを意識しながら、依頼主さんの考えや不満を紐解く意識で関わることが大事だと思います。

現場を訪れるのは当然大切ですが、一度顔を合わせて話しただけで本音を引き出すのは難しいと思います。誰でも「良く見せたい」と思うのが当たり前ですし、わざわざ遠方から訪ねてくれた人に対して、いきなり愚痴や不満を言うこともできませんよね。

でも、デザイナーやプロデューサーは、本当の愚痴や不満を引き出すことが求められる仕事だと思うんです。そこがわからずに、企業や自治体が公式に表明している課題だけを見て提案しても、根本的な解決にはつながりませんから。

また、一方の角度からの意見や考えだけですべてを理解しようとすることは危険です。ものづくりの中でも、加工屋さん、メーカーさん、問屋・卸さん、小売さんと様々な立場の方が産地にはいらっしゃいます。様々な人を通して商品が作られ販売されています。それぞれの立場で考えや不満が異なり、また目標があります。

たとえば、私が拠点を置いている新潟・燕三条は、最近メーカーさんや加工屋さんが自社で直接小売業さんとの取引を始めたりという動きが活発化しています。メーカーさん加工屋さんの立場では良いことのように見えますが、問屋さん卸さんの立場で言えばそれはそう見えない場合もあります。どちらかの企業さんからの依頼があった場合、一方の意見だけを聞いていては、判断を誤る可能性があるでしょう。

しかしながら、もし全体を見渡せていれば、メーカーさんや加工屋さんが自社で小売さんとつながろう、あるいはつながっているとはいえ、物流も十分にないメーカーさんや加工屋さんが大きな数字を実現するにはハードルが高い。であれば、こちらでOEMを含め共同開発などで物流や販売網などの強みを活かし…といったお互いにとって良い方向になる可能性を提案することができます。

あらゆることすべてを解決することは不可能ですが、可能な限り全体の動きや流れを意識しながら、依頼主さんの考えや不満を紐解く意識で関わることが大事だと思います。

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堅田佳一

DESIGNER

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A5

回答日
 2018.04.02

早い段階でものづくりの現場に行く

プロダクトデザインをするうえで、事業者さんの規模や空気感などがあふれている現場を確かめることは非常に大切ですから、なるべく早い段階で現地へ行き、社長さんや職人さんと会うようにしています。

プロジェクトがスタートしたら、相手に負担がかかる頼みごとは控えるようにしています。地場産業の事業者さんの中には、家族経営でやっていらっしゃるところも少なくありません。そういうところは、新たなプロジェクトに取り組むだけでもとても大変なことです。必要以上に負担をかけてしまうと、通常業務にも影響が出てしまいますから気をつけています。

あとは、作り手の気持ちに引きずられてしまわないように注意しています。職人さんなどの作り手が大切にしていることやプライドを尊重するのは当然ですが、プロダクトは使い手がいて初めて成り立つものです。作り手、使い手の双方の気持ちをバランス良く考えるのは、プロダクトデザインをするうえで重要なことだと考えています。

そのうえで、腹をくくって取り組む姿勢を大切にしています。何も考えずに見た目をちょっといじるだけ、というのは事業者さんを傷つけかねない行為だと思いますので、どうしたら本当の課題解決になるかを全力で考え、提案に生かしています。

プロダクトデザインをするうえで、事業者さんの規模や空気感などがあふれている現場を確かめることは非常に大切ですから、なるべく早い段階で現地へ行き、社長さんや職人さんと会うようにしています。

プロジェクトがスタートしたら、相手に負担がかかる頼みごとは控えるようにしています。地場産業の事業者さんの中には、家族経営でやっていらっしゃるところも少なくありません。そういうところは、新たなプロジェクトに取り組むだけでもとても大変なことです。必要以上に負担をかけてしまうと、通常業務にも影響が出てしまいますから気をつけています。

あとは、作り手の気持ちに引きずられてしまわないように注意しています。職人さんなどの作り手が大切にしていることやプライドを尊重するのは当然ですが、プロダクトは使い手がいて初めて成り立つものです。作り手、使い手の双方の気持ちをバランス良く考えるのは、プロダクトデザインをするうえで重要なことだと考えています。

そのうえで、腹をくくって取り組む姿勢を大切にしています。何も考えずに見た目をちょっといじるだけ、というのは事業者さんを傷つけかねない行為だと思いますので、どうしたら本当の課題解決になるかを全力で考え、提案に生かしています。

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辰野しずか

DESIGNER

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A6

回答日
 2018.07.19

入ってはいけない領域には踏み込まない

地場産業の場合、店舗展開や販路、客層以外に企業としての体力や人間関係などもすべて把握する必要があります。そうしないとデザインに取りかかることができません。実際に現地に行って、関係者の方々と酒席でコミュニケーションを重ねていくと、徐々に理解できるようになる感じでしょうか。強いて言えば「お酒を鍛える」のは大切かと思います(笑)。

おおよそ把握できるのに3年くらいかかりますが、気をつけたいのはそれでも“よそ者”だということです。私は、入ってはいけない領域には踏み込まないのが、地場産業と関わるときに欠かせないマナーだと考えています。

地場産業の場合、店舗展開や販路、客層以外に企業としての体力や人間関係などもすべて把握する必要があります。そうしないとデザインに取りかかることができません。実際に現地に行って、関係者の方々と酒席でコミュニケーションを重ねていくと、徐々に理解できるようになる感じでしょうか。強いて言えば「お酒を鍛える」のは大切かと思います(笑)。

おおよそ把握できるのに3年くらいかかりますが、気をつけたいのはそれでも“よそ者”だということです。私は、入ってはいけない領域には踏み込まないのが、地場産業と関わるときに欠かせないマナーだと考えています。

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澄川伸一

DESIGNER

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