ローカライジングのための商品開発・改良はどう進める？

老舗の和傘メーカーを例にご説明しましょう。

海外生産が主流になり、使い捨て文化が進んだことで15年前には年商わずか100万円にまで落ち込み、廃業寸前でした。そこで、工芸品としての美しさや構造を活かし、デザインの本場である欧州での展開を行いました。しかし、手工芸品や日本的なイメージが強すぎて商談が成立しない例もあったのです。そこで、現地ニーズを着実に捉えるため、現地パートナーからの要望に随時対応して改良を繰り返しました。そうした地道な取り組みを続けた結果、現在の年商はグループ会社合わせて2億5,000万円を突破しました。

日本でもそうであるように、国や地域だけでなく、時期によってもニーズは刻々と変化します。信頼できる現地のパートナーを確保し、緊密なコミュニケーションを図ってニーズを吸い上げ、その都度商品の改良や開発に取り組むのが重要ではないでしょうか。

現地の人たちの暮らしを理解することがすべてです。現地の人たちに対してすでに存在する商品なのか、今持っている製造技術がどう現地社会に貢献できるのか、そういった視点で市場を観察していくと、何が通用し何が通用しないのか自然と見えてきます。その上で変えるべきこと、変えるべきではないことをしっかりと見据えて商品開発を行う必要があります。また、ローカライズすることだけが海外市場での最適解ではありません。ローカライズはあくまでも一つの選択肢と捉え、グローバルに通用する商品を開発することも忘れてはいけません。